ある製品や試薬を販売する際、製品の抗菌効果をうたうために「抗菌試験」を受けなければならないことがあります。
今回は、抗菌試験を受ける際に必須である知識や費用、試験内容について詳しく解説します。
抗菌試験の概要
抗菌試験とは、ある物質や試薬などが、どのくらい細菌の増殖を抑制できるかということをテストすることです。
詳細は後述しますが、その方法は検出する細菌の種類などにより、いくつかの種類があり、使い分けられています。
この抗菌試験を無事パスした物質や試薬などは、抗菌剤などとして認められることになります。
抗菌試験の目的
抗菌試験はその名の通り、試薬などの抗菌効果をテストすることが目的です。
細菌の中には、病原性大腸菌やサルモネラ菌のように様々な病気の原因になったりする菌もあります。
そのような細菌類が体内に入ったりしないように、手に触れやすいものを抗菌剤などで除菌したりするわけですが、その時に使用される除菌剤などが、本当に細菌の増殖を抑制する効果があるかどうかを検査するために行うのです。
抗菌試験を無事パスすることによって、抗菌剤などとしてのお墨付きを得ることができます。
抗菌試験の費用
それでは、抗菌試験を行うのにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
一例として、コラボメーカーでの抗菌試験の費用をあげますと1サンプル1ポイント当たり4万円からとなっています。
また、抗菌試験の納期は最短1ヵ月から可能です。
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抗菌試験の試験方法
ここでは、抗菌試験の種類について述べていきます。
抗菌試験には、大きく分けると、抗菌剤などの処理の後に大まかに菌が存在するかどうかのみを判定する定性試験と存在する菌の量まで判定する定量試験があります。さらに定性試験と定量試験それぞれの中にいくつかの方法があります。
A・定性試験
抗菌試験における定性試験とは、細菌がいるかどうかを判定するための試験で、細菌の量は分かりませんので、大まかに細菌がいるかいないかのみを判定するときに使われます。
細菌がいるかいないかの大まかな判定ですので、費用も比較的安いことが多いです。
ただし、後述する定量試験のところで述べているSEKマークの認証試験にはなっていませんのでこの試験ではJISマークしか認証されません。
A-1・ハロー試験
液体性などの溶出するタイプの抗菌剤の場合に使える方法です。
菌が混じった寒天培地を作成し、そこに抗菌剤などを塗付して37℃で最大48時間培養し、菌が生育しないところ(ハロー)ができるかどうかを判定します。
B・定量試験
抗菌試験における定量試験とは、細菌がどのくらいの量いるのかを判定するための試験で、細菌がどのくらいの量いるのかまで詳細に判定する必要があるときに使われます。
細菌の量まで詳細に知ることができる代わりに、費用が高めになることが多いです。
なお、判定基準には一般社団法人繊維評価技術協議会(SEK マーク 略称SEK)と日本産業規格(JISマーク 略称JIS)があり、基準が異なります。
また、SEKに認証されるためには、抗菌試験のうち、定量試験の結果が必須です。
B-1・菌液吸収法
繊維関係の抗菌加工品検査では最も一般的な検査の一つです。
抗菌加工された繊維物質の試験の場合、まず抗菌加工されたサンプル(加工サンプル)とされていないサンプル(標準サンプル)を準備し、両方に同じだけ菌液を塗付します。
次に、両方を同じ時間だけ培養した後で洗い出し、洗い出した液を混合した寒天培地に形成されたコロニー数で菌数を定量するか、洗い出した菌液の中に存在する細菌の持つエネルギー物質(ATP)を発光させて菌数を定量します。
B-2・菌転写法
特定用途のみのSEKマーク認証のために必須の抗菌試験です。抗菌試験の対象となる細菌をまずメンブレンフィルターに採取します。
その後、このフィルターを試験したい抗菌加工されたサンプルと標準サンプルの両方に擦り付けて転写し、同じ条件で培養します。
次に、両方を同じ時間だけ培養した後で洗い出し、洗い出した液を混合した寒天培地に形成されたコロニー数で菌数を定量するか、洗い出した菌液の中に存在する細菌の持つエネルギー物質(ATP)を発光させて菌数を定量し、どれだけ菌数が減少しているかを判定します。
SIAA 認証取得にも必要な抗菌試験
SIAAとは、抗菌剤・抗菌加工製品のメーカー、試験機関が集まってできた団体である「抗菌製品技術協議会」が定めた抗菌加工製品に求められる品質や安全性に関するルールのことです。
このルールに従っている製品にのみSIAAと表示することが認められています。
このSIAA表示が認められるためには、「抗菌加工されていない製品の表面と比較し、細菌の増殖割合が百分の一以下であり、耐久性試験後も抗菌効果が確認されること」「SIAAが独自に決めた安全性基準を満たしていること」「抗菌剤の種類、加工部位を明示していること」の3つを満たしている必要があります。
このうち、「抗菌加工されていない製品の表面と比較し、細菌の増殖割合が百分の一以下であり、耐久性試験後も抗菌効果が確認されること」には国際標準ISO22196に準じて行われた抗菌試験の結果が求められるのです。
つまり、抗菌試験は、SIAAの認証を受けるためにも必要なのです。
参考:SIAA for KOHKIN
https://www.kohkin.net/guide.html
抗菌試験の代表例「JIS Z 2801」とは
抗菌試験の代表例として「JIS Z 2801」があります。JIS Z 2801とは、プラスチック製品、金属製品、セラミックス製品など抗菌加工を施した製品に行う抗菌試験のことで、抗菌試験の方法の項で前述しているうちの「菌転写法」にあたります。
一例としてコラボメーカーが仲介している試験をあげますと、抗菌加工を施したプラスチック、金属等に対して行っていて、まず、5cm×5cmサイズの抗菌加工済みサンプル品と無加工の試験片に0.4mLの菌液を滴下し、そして4cm角のフィルムで覆います。
その後、温度 35±1℃、相対湿度90%以上で24時間培養し、試験菌を洗い出して回収した後、1㎠あたりの生菌数を測定します。
試験の結果は、抗菌活性値=無加工試験片の24時間後の1㎠あたりの生菌数の対数値の平均値―抗菌加工試験片の24時間後の1㎠あたりの生菌数の対数値の平均値の式で計算され、抗菌活性値2.0以上で合格とします。
JIS Z 2801で指定されているのは黄色ブドウ球菌、大腸菌ですが、別の菌を用いることも可能ですので、ご希望の場合は是非ご相談ください。
※菌種によっては試験が出来ない場合もございます。
※ご要望の菌を試験機関が持っていない場合、菌の購入や予備試験が必要な場合がございます。
抗菌試験ならコラボメーカー
ここまで抗菌試験の概要についてご紹介しました。
SIAAの取得を目指す場合、抗菌試験、抗ウイルス試験はJNLA試験事業者(証明書発行機関)で実施する必要があります。
しかし、このような指定試験事業者は混雑することも多く「SIAAマークを取得する以前に、いくつかの材料でどの成分や濃度において効果があるといえるのか、スピード重視で調べたい」といったご要望には沿わない場合があります。
弊社では、指定試験事業者以外の試験機関とも提携しておりますので、ご依頼のタイミングでスピーディーに試験を実施いただける試験機関のご紹介が可能です。
ぜひ抗菌試験はコラボメーカーにご相談ください。
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